京都大学大学院医学研究科 脳病態生理学講座 臨床神経学(脳神経内科)

menu

平成15年以降、「難治性部分てんかんにおけるてんかん発作伝播様式の解明と脳機能可塑性の研究:低頻度大脳皮質電気刺激法による検討(当院医の倫理委員会承認番号443)」にご協力頂いた患者さんへ

てんかん病態下の脳内ネットワーク機構と機能可塑性の解明 -頭蓋内電極を用いた低頻度大脳電気刺激法による検討-

 

1.はじめに
大脳は個々の脳領域同士がお互いに密に連絡をとりあって機能しており、またてんかん発作はこの脳内の線維連絡(ネットワーク)を通じててんかんの発生源からてんかん波が周囲ないし遠方の脳領域に広がることにより生じます。過去に頭蓋内電極を留置した状態で低頻度電気刺激を脳の一部位に与えることにより、正常およびてんかんにより変化した脳内の線維連絡を検査に同意頂き、施行致しました。今回我々はこれまでの患者さんで記録したデータと今後新たに記録するデータを用いて、さらにてんかん病態と正常脳機能の解明を進めていくため、新たな研究課題を進めることと致しました。
本文書は、これまで記録したデータを新しい研究(下記の項目2)で利用(二次利用と)させて頂くことをお伝えし、またそれに同意頂けない場合に新しい研究への参加を同意・希望されない旨をご連絡頂きたく、公開しております。
実際的には、新しい研究参加に同意頂ける場合には特に何もして頂かなくて問題ございません。また、もし新しい研究参加に同意頂けない・希望されない場合は、下記の項目14.「お問い合わせ先」までご連絡下さい。

2.新たな研究課題名
てんかん病態下の脳内ネットワーク機構と機能可塑性の解明
 -頭蓋内電極を用いた低頻度大脳電気刺激法による検討-

3.研究の目的
この研究では、脳の表面あるいは中に置いた電極に、安全性が確認された低頻度電気刺激を脳の一部位に与えることによりみられる反応から、正常およびてんかんにより変化した脳内の線維連絡を調べます。
この研究から得られた結果から、近い将来にてんかんの病態と正常脳機能の解明を行うことが本研究の目的です。

4.研究の方法
てんかん焦点切除術のために留置された頭蓋内電極(硬膜下電極・脳内深部電極)から、大脳刺激を1秒に1回以下のゆっくりとした頻度(低頻度)で行いました。電気刺激が脳内の線維連絡を介して伝わって生じた脳の反応は、通常の脳波計測器で記録し、コンピュータを用いて解析を行っております。
今回新たに記録することはありません。これまで記録したデータを様々な手法を用いて解析を行います。
より良い研究にしていくため、本検査の結果に加えて、あなたの病気の種類・経過、頭部MRIデータ、てんかん発作や脳機能に関する検査データ、診療記録を本研究の資料として、個人が特定できない状態にして保管・参照させていただきます。また国内外の他の研究施設と協力して特殊な解析を含めて、利用させていただくことがあります(二次利用)。

5.期待される利益
研究参加に同意いただけると、次のことに役立つ可能性があります。
① てんかん発作に関わる脳内の線維連絡、正常脳機能に関わる脳内の線維連絡を調べることで、今後のてんかん患者さんのてんかん焦点切除の範囲の決定に役立つ可能性があります。
② 脳がどのように情報をやりとりしているか、またその変化の具合がわかることにより、脳科学の発展に役立ちます。

6.起こりうる不利益と健康被害への対応
既に記録されたデータを用いるため、対象者本人に身体的なものをはじめ、不利益・健康被害はありません。

7.本研究への参加について:参加・離脱の任意性
あなたがこの研究に参加するかは自由であり、参加されなくても一切不利益は生じません。また、いつでも、この研究への参加拒否ができます。また、この研究により、個人に余分な医療負担がかかることはありません。他の患者さんの個人情報保護や当該臨床研究の独創性の確保に支障がない範囲で、当該臨床研究計画及び当該臨床研究の方法に関する資料を入手又は閲覧することができます。

8.プライバシー保護について
この研究で得られた結果は、てんかんの病態解明や正常脳機能の解明に使用します。国内外の専門の学会や学術雑誌に発表されることもありますが、その場合あなた(患者さん)のプライバシーを最大限に配慮し、尊重します。データは鍵のかかる部屋の中で紙媒体またはパスワードで保護された電子媒体に保存します。学術的に不必要な個人情報(氏名・住所など)は、共同研究施設へデータを提供する際も含めて外部に公表されることは一切ありません。

9.研究の費用
この研究に参加していただくことにあたり金銭的負担はなく、京都大学てん かん・運動異常生理学講座、神経内科の研究費や文部科学省・厚生労働省の科 学研究費などにより賄われます。この研究に対する企業やその他の外部団体か らの資金提供はありません。また、参加していただくことに対する謝礼はあり ません。

10.研究期間
この研究は倫理委員会承認日から6年間実施される予定です。研究に関する情報は、研究終了または論文化のいずれか後になる方から10年間保存します。

11.研究終了後の試料・情報の取り扱い
研究終了研究終了または論文化のいずれか後になる方から10年間保存します。その後利用されないあなたの研究データは紙のものは裁断機にかけて廃棄され、電子媒体に残ったデータは完全に消去されます。

12.研究の審査と情報公開
この研究は倫理委員会の審査を受けたうえで、京都大学大学院医学研究科長 および京都大学医学部付属病院長の認可のもと実施されています。研究の概要 はUMIN(大学医療情報ネットワーク)で登録され必要に応じて情報公開を行います。

13.研究組織と研究成果の帰属(知的財産権など)
この研究は京都大学てんかん・運動異常生理学講座、神経内科、脳神経外科、脳機能総合研究センターが中心となり、他の国内外の施設と協力して研究を行います。詳細に関する説明をご希望な方はお申し出ください。
この研究で得られたデータは、てんかん・運動異常生理学講座、神経内科、脳神経外科が所有・管理します。この研究により何らかの知的財産権(特許など)が生じた場合にはてんかん・運動異常生理学講座、神経内科、脳神経外科に属します。

国内外の共同研究施設と共同研究者(各施設の代表者)は以下の通りです。
<国内>
愛媛大学大学院医学系研究科脳神経外科学國枝 武治 
立命館大学情報理工学部知能情報学科北野 勝則
京都大学情報学研究科非線形動力学青柳 富誌生
理化学研究所脳科学総合研究センター認知神経科学北城 圭一
東京大学大学院情報理工学系研究科中嶋 浩平
中部大学創発学術院津田 一郎
京都産業大学コンピュータ理工学部伊藤 浩之
北海道大学理学研究院数学部門行木 孝夫
京都産業大学コンピュータ理工学部奥田 次郎
九州工業大学生命体工学研究科我妻 広明
福岡工業大学情報工学部情報工学科山口 裕
<国外>
Aix-Marseille UniversiteDr. Christophe Bernard, Ph.D.
Johns Hopkins University School of MedicineDr. Nathan Earl Crone, M.D.
Institute of Psychiatry, King’s College LondonDr. Marco Catani, M.D., Ph.D.
Epilepsy Center, Cleveland Clinic Dr. Dileep R. Nair, M.D.

14.お問い合わせ先
この研究に関して何かわからないこと、ご心配なことがございましたら、いつでも下記連絡先にご相談ください。また、他の研究対象者等の個人情報保護の上、研究に支障がない範囲で、研究に関する資料の入手・閲覧ができますのでご希望の方はお申し出ください。

京都大学医学部附属病院神経内科松本理器
TEL 075-751-3771
京都大学医学部附属病院神経内科小林勝哉
TEL 075-751-3772
京都大学医学部附属病院総務課研究推進掛
TEL 075-751-4899

2016年12月 京都大学 医の倫理委員会承認

当サイトに関するお問合せは下記までお願いいたします。

京都大学脳神経内科事務局 e-mail:neuroofc@kuhp.kyoto-u.ac.jp