2006年以降に当院で診療を受け、慢性硬膜下電極留置術を施行したてんかん患者さんへ
対象研究名:難治性てんかん病態におけるグリア機能の解明と診療ガイドライン作成の研究
対象者の選択基準
京都大学医学部附属病院神経内科において、2006年以降当院にて慢性硬膜下電極留置術を施行し、焦点切除を行った難治性てんかん患者を対象とします。
研究目的・方法の概要
てんかんとは、様々な要因によってもたらされる慢性の疾患であり、大脳の神経細胞が過剰に発火することによる発作(てんかん発作)を主徴とする疾患と定義されており、人口の約1%に起こる最も多い神経疾患の一つとされています。治療法は薬物療法、外科的治療などがありますが、適切な2~3種類の抗てんかん薬を使用しても発作が続く場合は、外科治療が考慮されます。
当院では、外科治療の術前評価として慢性硬膜下電極を留置し、てんかん焦点の検索および脳機能評価を行っております。その際得られる脳波データのうち、とりわけ、より低周波の活動(DC電位, infraslow)はグリア細胞の機能を反映するとされ、てんかん原性を示唆するバイオマーカーになりうる可能性が近年注目されています。グリア細胞とは、中枢神経系を構成する細胞の一つであり、これまでニューロン(神経細胞)を補佐する脇役と考えられてきました。しかし、近年の研究によりニューロン活性やシナプス形成の制御など、脳の活動に積極的に関与している可能性が示唆されており、てんかん病態への関与が想定されています。しかし、そのメカニズムや発生機構については一定した見解が得られておりません。
そこで本研究ではこれまで手術を受けられた方の脳波データおよび切除標本をもとに、グリア細胞が発生機構とされるDC電位と病態との関連を詳細に検討することで臨床的有用性を明らかにし、またDC電位の記録・解析・解釈の標準化を目的とした診療ガイドライン作成を目指していきます。
個人情報の取り扱いに関して
患者さんの診療情報は匿名化した上で,京都大学神経内科と共同研究施設である、東京医科歯科大学医学部付属病院、国立病院機構西新潟中央病院、国立病院機構静岡てんかん・医療センター、国立精神・神経医療研究センターで共有します.研究成果を学会や論文で発表する際にも,完全に匿名化します.匿名化を条件に、研究期間終了後もデータを保存し、学術研究に活用します。
本研究に関して、お問い合わせいただくための手段について
もし本研究にご協力いただけない場合や、ご質問などがある場合には下記までご連絡いただけましたら幸いです。ご家族の問い合わせが可能なように、本研究の内容、実施者、問い合わせ先について京都大学神経内科ホームページ内に掲載いたします。
研究や個人情報に関する問い合わせや、研究への利用停止、研究計画書および研究の方法に関する資料の閲覧を求められた場合には、研究対象者のご家族であることを確認させていただいた上で、他の研究対象者等の個人情報及び知的財産の保護等に支障がない範囲内に限り、速やかに対応致します。
研究機関名・責任者
京都大学大学院医学研究科 てんかん・運動異常生理学講座 特定教授 池田 昭夫
問い合わせ等の窓口
京都大学医学研究科臨床神経学 中谷光良、井内盛遠、池田昭夫
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54
TEL:075-751-3772 FAX:075-751-9416
E-mail:nakatani\kuhp.kyoto-u.ac.jp(E-mailは、\を@に変えて下さい。)
京都大学医学部附属病院 総務課 研究推進掛 TEL: 075-751-4899 E-mail: trans\kuhp.kyoto-u.ac.jp(E-mailは、\を@に変えて下さい。)
2016年7月 京都大学 医の倫理委員会承認